浮上してプロペラの約半分が水面上に出るもの、超高速艇に使用)などでは、当然偏心スラストを生じ、横振動が発生するから、丈夫なV字形ブラケットを使用すべきである。この場合、高速ではブラケットのほとんど全体が水面上に出るので、推進性能からも差支えは生じない。
5.4 横肋骨構造の部材寸法
5.4.1 船底構造
高遠艇の横肋骨式船底構造には3種類の系統がある。第1は木製高速艇の切出し肋骨構造を金属に置き換えたもので、肋骨心距を350〜400mm程度とし、特設肋骨を設けないもの。第2は一般鋼船の構造に近い、特設肋骨とサイドキールソンを設けた構造である。肋骨心距は一般に500mm前後である。第3の方式は縦肋骨構造との中間的な方式で、漁船などに例が多い。これは心距500mm程度の肋板形式の肋骨に縦パネルブレーカーをインターコスタルに入れたものである。
(1)船底外板
船体中央部近くでスラミングが発生したとき、その位置の船底外板はスラミング水圧による曲げ応力と、ホギングによる軸圧縮応力とを同時に受けることになる。
高速艇の最大曲げモーメントはサギングで起り、最大衝撃水圧を受ける位置と最大ホギングモーメント位置とは一致しないのが普通であるが、不規則波の中や同調出会周期より高速で走るときは、船底外板がスラミング水圧と縦曲げ圧縮とを同時に受けることも起こり得る。
このような状態を考慮すれば、船底外板が凹損すると縦曲げ強度部材としての機能を失う横肋骨構造では、外板が凹損しないことを条件としなければならない。この条件の下で外板は最大衝撃水圧に対し弾性設計とし、耐力に対して安全率1.2とする。
塑性設計は適当でないが、艇の使用条件によっては弾性設計と塑性設計との平均値程度まで板厚を減少することができる。塑性設計は縦肋骨構造の計算式を用い、縦肋骨心距Sを肋骨心距と読替えて計算する。この場合は外板凹損後も縦曲げ強度が十分でなければならない。
これら3隻の船底凹損後の曲げ応力(船底外板はガーダー位置で10tのみとする)を計算し
前ページ 目次へ 次ページ
|
|